■コミカルな赤楚衛二が好評だったが
そして、物語が中盤に入っても、X上では、《灰江って、下手したらチャラいキャラで終わりそうな人。そこを際どいとこでストップさせてる演出がすごい。もちろん、それに応えられる赤楚君も素晴らしい》など、赤楚を称賛する声が続いていた。
しかし、物語が進むと、灰江の養父・灰江和宏(鈴木浩介/50)の裁判に圧力をかけ、判決結果を捻じ曲げたという最高裁判事・地鶏健吾(加藤雅也/62)が、生物学上の灰江の父であることが発覚。物語は地鶏への復讐劇となり、シリアスな展開に。灰江が思い悩むシーンが多くなり、結局、いつもの赤楚になってしまった。
そのため、第8話までは6%台と5%台を行き来して、なんとか堅調をキープしていた平均世帯視聴率が、最終回(第10話)は3.2%で撃沈。配信サービス・TVerのお気に入り登録数も、一時は41万を超えることもあったが、第8話以降はクライマックス直前にもかかわらず、減少してしまう惨憺たる事態になっていた。
原作があるドラマなので仕方がないが、もしコメディ路線が続いていれば、視聴率も配信も、数字が変わっていたかもしれない。できることなら、最後まで赤楚の新境地を楽しみたかった。次の出演ドラマこそ、期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。