■『続・続・最後から二番目の恋』の新しさ

 第1期から演者とともに年を重ねている、おなじみのメンバーたち。物語は閉じた話になると思いきや、家を出ることを決意したり、新しい仕事に挑戦したり、それぞれが次のステップに向かう姿が描かれた。新たな世界に向かう姿勢は、若い世代の共感を呼ぶ。視聴者の世代を超える内容だったといえる。

 X上でも、《面白いな~親が見てた頃はまだそこまで面白さ変わらなかったけど今はこのドラマみると憂鬱な明日をなんとか乗り越えられそうな気がする》《コレを見てると歳をとる事って素敵な事だな、と思う。その年齢の時の感性でしか味わえない事が沢山あるので、未来も楽しみになる》など、若い年齢層からも反響が寄せられている。

 さらに、ほんわか展開だけでは終わらず、定年後の不安を狙った退職金詐欺、キャリアの終わりに直面する寂しさ、生きがいを失った専業主婦の不安など、厳しい現実を突きつけるエピソードも描かれた。ぬるい大人の寓話で終わらず、リアルな問題提起をしっかりしていたのだ。これもまた、世代を超えて共感を得ており、さすがの岡田惠和脚本といったところだ。

 厚い支持層となるアラカン世代をメインとしつつ、その子ども世代など、若い年齢層からも支持される展開も加えられた『続・続・最後から二番目の恋』は、令和に誕生した新しいスタイルのドラマだといえる。だからこそ、ここまでヒットしたのだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。