■刺激が足りない『放送局占拠』

 X上にも、《大芝知事感電死は警察内部の傀儡子グループ。「病院占拠」は備前県警本部長がP2計画口封じの為院長を警察で殺害。「空港占拠」は川越署長が山猫の手下で秘密がバレたから警察内で自殺。そのパターンは飽きたってばー》という指摘が。確かに前作までの流れとだいぶ似てきている。

 前作『新空港占拠』の山猫と同じように、今回も黒幕として傀儡子が出てきた。さらに、主要人物の過去が占拠事件に関係していたパターンも踏襲しそう。前作は手術の順番で実業家を優先した裕子(比嘉愛未/39)だったが、今回は武蔵だろう。前作では新たな武装集団メンバーとして大河(ジェシー/29)が登場し、裕子との因縁が明かされた。今回、それに近い役回りが、武蔵の義理の弟である伊吹だと思われる。

 同じパターンはこれだけでない。おなじみの警察内部に協力者がいるというのも、《大芝都知事が傀儡師が…と言った後、屋代の左手がポケットの中へ。屋代がスイッチオンして、電気イスでビリビリ。屋代は傀儡師側かも》などの考察もあり、屋代はクロでほぼ確定。驚くほど前作と流れが同じで、見ていて刺激がない。視聴率の低迷はそれが理由だろう。

 こうなると、なんとか起爆剤がほしいところだ。ただ、ストーリー的に新しい要素が期待できないとすると、妖の正体以外に大きなトピックは作れない。視聴者の考察の中には、《首元にホクロがあるし。目元や動きもニノっぽいんだよなぁ》などと、般若は二宮和也(42)だとという声が絶えないが、それぐらいやらないと起爆剤にならないだろう。

 あるいは、ほかの大物俳優の登場に期待したいところだが、考察は今のところ、《予告で般若が面を外したときの武蔵たちの反応、もう確定で、般若=伊吹じゃない? 知ってる顔のリアクションに見えるけど…》などと、伊吹(加藤)の般若説が多数派で、それがわかったところでたいした盛り上がりは期待できないだろう。考察の斜め上をいくような、流れを変える何かがあるのか? 今後に注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。