■家庭用ゲーム機の進化、スマホの普及、そしてコロナ禍が逆風に
1990年代に入ると、「ストリートファイターⅡ」など格闘ゲームが一世を風靡。対戦文化が生まれ、勝敗で人間関係ができたり壊れたりするほどの熱量があり、見知らぬ誰かと向かい合ってコントローラーを握る空気には緊張感と興奮が混ざった独特の温度がありました。この頃のゲームセンターは遊び場であると同時にリアルなコミュニケーションが生まれる“場”でした。
2000年以降は音楽ゲームが台頭。ダンスやリズムを身体で感じる体感型ゲームはスコアを競うだけでなく、パフォーマンスとして周囲と共有する楽しさもあり、ファン層の拡大に繋がったものでした。
しかしその後、家庭用ゲーム機の進化とともにゲームセンターの優位性が揺らぎ始めます。プレイステーション2やXboxといった高性能機が普及し、自宅での対戦が一般的になり、さらに2010年代にはスマホゲームが台頭。通勤中でもベッドの中でもゲームが楽しめる時代になり、わざわざ外に出てお金を払う理由が薄れていきます。
それでもゲームセンターは大型筐体やオンライン連携型タイトルで差別化を模索。「機動戦士ガンダム 戦場の絆」や「湾岸ミッドナイト」などは一部で人気を集めましたが、筐体の維持費やネット環境の整備、コロナ禍の逆風も重なり、事業継続は容易ではありませんでした。