■従来のゲームセンターでは味わえない体験価値を創造する

クレーンゲーム
現代のゲームセンターの中心、クレーンゲーム ※画像/PhotoAC

 2020年以降は新型コロナ感染防止の観点から“触る”“密集”“大声を出す”など行動が制限され、ゲームセンターの根本的なスタイルが否定される状況が続きます。最近はクレーンゲームやプリクラを中心に明るい空間づくりでファミリー層を取り込む工夫もありますが、かつての“熱”とは異なる印象。売り場の大部分がクレーンゲームの店舗も多く、ゲーム体験より“商品を得る場所”としての意味合いが強まっています。また、最新ゲームは導入コストが高く、そこへきて人件費や賃料の高騰も深刻化。店舗の減少は経済的事情と顧客層の変化の両方が影響しています。

 では、ゲームセンターはこれからどう生き延びるのでしょうか。

「ひとつの答えとして無人化が挙げられます。書店では深夜の無人営業が売り上げを伸ばした事例があり、この施策はゲーセンとも相性が良さそう。また、従来のゲームセンターでは味わえない体験価値を創造することも鍵でしょう。例えばVRやAR技術が使われていたり、地域コミュニティと連携したイベント開催など、リアルの場だからこそ得られる価値を追求し、顧客満足度を上げることも重要だと思います」(ゲーム誌ライター)

 40年の歴史を経て、ゲームセンターはさまざまな進化を遂げてきましたが、この先の10年に向け、技術革新や時代のニーズに応え、独自の価値を見出し続けられるかが必要となりそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだ・あおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。