日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。Z世代が抱えるリストラ危機とは――。
最近、SNSやニュースで「Z世代が会社から切られている」という話題をよく見かけます。特に欧米では、会社都合の解雇者数のうち約半分が20代、いわゆるZ世代で、彼らは「最悪の世代」と揶揄されることさえあり、真っ先にリストラ候補となっているそうです。
日本でもその流れが強まってくると予測されていますが、ではなぜ、今この世代が狙い撃ちにされているのでしょうか?
各種報道によれば、若者の解雇が増える背景には、複数の理由が挙げられています。
まず1つ目は「仕事の削減」。企業はAIやロボットによる自動化を進めています。また、完全に自動化できないSNS運用や競合リサーチ、事務作業など、かつて新卒や若手が経験を積みながら担当していた仕事の多くは、外注やフリーランスに任されるようになりました。
これにより、若手が成長するための実務経験が得にくくなり、「即戦力でないからいらない」という判断がされるようになってしまった。結果として、中堅社員は残る一方、育成コストのかかるZ世代が減らされています。
2つ目は「金融状況の変化」。コロナ禍の超金融緩和期には銀行がお金を貸しまくり、多くの企業がスタートアップや新規事業で若手を大量採用しました。
しかし、その後急激な金利上昇で投資家から「キャッシュを増やせ」とのプレッシャーが強まり、企業はコストカットに走ることに。その結果、「一気に採用した若手はもう必要ない」という大量解雇の原因になっています。