■近年変化した働き方の違いも原因か

 3つ目は「リモートワークの影響」。コロナ禍でリモートワークが普及し、成果は数値化しやすくなった反面、上司との信頼関係や同僚との連携が希薄になりました。その後、突然オフライン出社が増えた結果、居場所を失ったり、守ってくれる上司がおらず、孤立した若手がリストラされやすくなっています。

 4つ目は「Z世代の働き方の価値観の違い」。若者は「自分らしさ」や「メンタルヘルス」「ワークライフバランス」を大切にします。例えば、上司の指示に「なぜやるのか?」と疑問を持ったり、電話よりチャットを好み、がむしゃらに働くより健康的に長く働くことを重視します。こうした価値観は社会の主流になりつつありますが、一部の企業文化とはまだギャップが大きいのが現実です。

 そして5つ目が「Z世代が持たれているイメージ」。人事担当者がZ世代について「モチベーションや主体性がない」「プロ意識が低い」「コミュニケーション能力が低い」「権利意識が強く、すぐに傷つく」といった偏見を持ってしまうことで、「扱いづらい」「すぐ辞める」と短絡的に判断してしまうケースもあるそう。実は、これが一番大きな理由だとも目されています。

 では、どうすればいいのでしょうか?

 企業は「これまで通り」では人材が育たない現実を認める必要があります。一方でZ世代も「自分の価値観を通すだけ」ではなく、もっと広い視点で働き方を捉える力が求められているかもしれません。

 世代間の違いは対立のためではなく、組み合わせることで新しい化学反応を起こすためにあります。お互いの当たり前を少しずつすり合わせ、新しい働き方を探っていくことが、一番健全な道と言えるでしょう。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだ・あおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。