日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、SNS世代に広がる「電話恐怖症」を取り上げる。
職場に響く電話の音。その受話器を誰が取るかで、オフィスの空気が一瞬にして張り詰める――。この場面に、身構えてしまう若手社員が急増。「電話恐怖症」という言葉がSNSを中心に広まりつつあります。
実際、ネット上では若者からはこんな声も。
「相手の顔が見えないまま、いきなり本題に入らなきゃいけないのが怖い」
「LINEなら誰からかわかるし、構えて対応できるけど、電話は突然すぎて心が追いつかない」
「ベテラン社員より早く電話を取れと指示された」
「お詫びの電話で怒鳴られ、頭が真っ白に」
「“いい大学出てるのに電話もできへんのか”と嫌味を言われた」
「保留ボタンがいまだに怖くて押し間違える」
ある退職代行サービスによれば、最近では「電話対応がどうしても苦痛で辞めたい」と訴えるケースが少なくないそう。
今の若者はLINEやインスタグラムのDMが主流で、日常生活に電話が登場する機会はほとんどありません。
職場では今も「電話は新人が取るもの」という固定観念が根強く残っていますが、それが若手には強いプレッシャー。SNS時代に育った彼らにとって、突然のリアルタイム対応を強いられる電話は大きなストレスの要因なのです。