■『初恋DOGs』キュン不足の原因は……
ようやく三角関係が動き始め、X上では《愛子の告白に動揺してオロオロしている快、可愛い》《酔っ払い愛子ちゃんの破壊力!ソハの告白に動揺を目だけで表し、清原果耶ちゃんの演技が一気に爆発した》《直球で告白したソハ、カッコいい。ソハと愛子もお似合い。でも、不器用な快も応援したい》など、演者を称賛する声は多い。
一方、《ストーリーがいまひとつ。話の軸がしっかりしておらずなかなか進まない。愛子と快の恋模様なのか、快とソハの友情物語なのか、ワンコの可愛さを愛でるためのドラマなのか、職場のわちゃわちゃ感を楽しむのか、どれもが中途半端》など、とっ散らかったストーリーに不満の声もあった。
酔った清原果耶はかわいいし、自分の想いに気づいているのか気づいていないのかわからない成田凌はもどかしい。ナ・イヌのストレートな日本語の告白もよかった。ただ、誰も彼もが好きになる動機が弱くて、3人の恋心に感情移入できない。相手を好きになる裏付けがあれば、もっと視聴者も盛り上がったはずだ。
韓国のWEBコミックの原案ありという、脚本を構成するうえでの事情もあるだろう。ドラマ化する際に、原案から何を引いて何を足すかという点で、問題があったのかも。また、韓国との共同制作という事情もありそうだ。国が違えばドラマ文法も変わる。その際の両サイドのすり合わせが、うまくいっていないのではないだろうか。
清原果耶、成田凌、ナ・イヌら、演者の演技力は十分にある。それだけに、恋模様がしっかり描かれた脚本だったら、もっと彼らが輝けたはずなのに、残念だ。次回は愛子の母・千佳子(坂井真紀/55)が登場し、三角関係をかき回してくれそうだ。後半戦に向けて、胸キュンさせる展開の巻き返しに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。