■きめ細かな作りの『愛の、がっこう。』
基本は恋愛ドラマだが、単純な“好き”で終わらせないのが、本作の素晴らしいところだ。冒頭、気持ちをストレートに明かすカヲルに対し、愛実は一線を超えさせないと見せかけつつも、2人の想いがよりつながっていく展開が見事だった。愛実とカヲルが、それぞれ相手を好きになるまでの複雑な感情を見事に描いているので、ハマる視聴者が多いのも当然だ。
一方で、X上に《出演者だれも雑に出してない感じが好きだ。無理のない絡み方と存在感。みんな気になる》という声があるように、愛実の母・早苗(筒井真理子/64)、カヲルの後輩・竹千代(坂口涼太郎/34)など、サブキャラもおざなりにせず、しっかり描いているため、より2人の存在が際立つ。脚本、演出、演技がどれもきめ細かく作られているため、物語に奥行きが出てくるのだ。
次回は、愛実とカヲルが思い出作りの遠足に出かけ、いよいよデートとなりそうだ。だが、愛実への執着心を強めている川原が不気味。別の女性(野波麻帆/45)と別れたと強調していた川原が、2人のデートを知って暴れだすのではないだろうか。予告には、川原がカヲルを問い詰めるシーンがあり、中盤のヤマになりそうだ。
本作の脚本・井上由美子氏と演出・西谷弘氏が手掛けた、上戸彩(39)主演の『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)は、不倫関係の2人が結ばれないバッドエンドだった。X上には《昼顔を視聴してた身としては、最終回でとんでも展開になる事も覚悟して見ている》という声もあるが、本作がどんな結末になるか注目だ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。