今年前半期のドラマで最大の話題作といえば、芳根京子(28)主演の連続ドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)だろう。番組公式グッズが発売日に完売するなど、社会現象レベルのヒットとなったが、ベタな恋愛ドラマかと思いきや、画期的な点があった。
同ドラマは、漫画アプリ「コミックDAYS」で連載中の西香はち氏の同名コミック(講談社)が原作。昭和11年に交際ゼロ日で結婚した、なつ美(芳根)と瀧昌(本田響矢/25)による新婚ラブコメ。全話平均視聴率が5.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)、配信サービス・TVerのお気に入り登録数の最高値が116.1万に達した。
なつ美と瀧昌によるムズキュンが延々と繰り返され、ときに恋のライバルらしき人物があらわれるなど、恋愛ものとしてはベタな内容だった。しいて“新しさ”をあげるなら、戦中のラブロマンスという点だ。ただ、悲劇要素はゼロで、戦争の影は気持ちを高めるために使われる。戦中を舞台にしたドラマでも恋愛ものはあったが、ここまでメロい物語はなかった。
X上では《正直、見たことない物語ではないと思うの。設定、キャラ、シチュエーション、展開には既視感もあるんだけど、なんていうか、演出とか役者さんたちとか、Xで盛り上げてくださる原作者さんとかが、丁寧に命を吹き込んだ結果、見たことない、かわいくて愛おしいドラマになっている》という声が。道具立てはベタであったものの、新鮮さを感じた人は多かったようだ。
ありそうで実はなかった恋愛ドラマという点では、本作と同じ4月期の月9ドラマで大ヒットした『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)も同様だ。こちらは50代以上の男女の恋愛で、結婚などにはこだわらない、新しい大人の関係を提示しているのが斬新だ。穏やかな日常を描いている点も『めおと日和』と共通している。この2作、新しいという点で共通していたのだ。