■元テレ朝Pが井上貴博アナウンサーを評価する理由
SNSの“功罪”に触れつつ、広陵高校の暴力事案の問題点を指摘した井上アナの発言には、
《良いね。井上アナがSNSの利点を仰ってくださった》
《この件に関してはTBS井上貴博アナが圧倒的にまともだった》
《腐ったメディアリアクションを含めて完璧な返しで草》
《なんだ全てのテレビ局がオールドメディアと諦めなくていいのか?》
といった、評価をする声が相次いでいるのだ。
井上アナは、以前から『Nスタ』での発言が注目されることが多く、同局の先輩・安住紳一郎アナ(53)のような影響力を持ちつつあるという声も聞かれる。
元テレビ朝日プロデューサーで長年、報道、情報番組を手掛けてきた鎮目博道氏は、報道番組を制作してきた立場から、井上アナについてこう語る。
「井上アナは以前から、元日本テレビの藤井貴彦アナウンサー(53)みたいな感じがありますよね。今回も、的を射たコメントをしたと思います。
井上アナは、オールドメディアとニューメディアの立ち位置を冷静な立場から見ていて、“テレビが嫌いな人”の立場も理解してコメントをしていますよね。
あと、今回の場合は、井上アナが元高校球児だったことも、関係していると思います」(鎮目氏、以下同)
慶応卒の井上アナは慶応幼稚舎からの慶応中学、高校でも野球部に所属していた。同高校野球部のモットーは「エンジョイ・ベースボール」。旧態依然のスパルタ指導ではなく、生徒の自主性、主体性を重んじる方針で強豪校となり、23年には107年ぶりの夏の甲子園優勝も飾った。
「そうした学生時代を過ごしてきた井上アナは、これまで高校スポーツの在り方を考えてきたのではないでしょうか」
そして、鎮目氏はこう続ける。
「最近はアナウンサーが、個人的な感想を言って、その結果、テレビはやはりオールドメディアだ、というふうにSNSが荒れてしまうことが多いですよね。先日も、ニュースを制作している人たちと話をしたばかりなんですが、そのことが“ちょっと怖いよね……”という話になったんですよね。
それだけに、井上アナのような、冷静でバランス感覚もしっかりしているコメントができる人は、局にとってもありがたいですよね。そういうコメントできるアナウンサーがより増えるといいですよね。今回の発言には称賛の立場です」
ニュースを伝える報道・情報番組のキャスターは、高いバランス感覚が問われるようだ――。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)