■琴勝峰の難点は脚がらみのケガ

 琴勝峰のハートに火をつけたのは、弟・琴栄峰の存在もある。3歳下の弟は、名古屋場所で新入幕を果たした。成績そのものは振るわなかったけど、兄弟で続けて土俵に上がる日もあって、「負けられない」という気持ちが強かったんだろう。

 ただ、琴勝峰にも難点がある。相撲を取っているときに、膝が内側に入るクセがあるので、脚がらみのケガが多いのだ。何かの拍子で大ケガにつながらなければいいが……と、いつも思っているけれど、まずは大きく番付が上がる来場所が勝負だ。

 8月3日から始まる夏巡業で、もっと力をつけて、秋場所はたくましい姿を見せてほしいと願っている。

 そして、琴勝峰、琴栄峰のお父さん、手計学さんも兄弟の活躍で一気に有名になった。千葉県柏市内で居酒屋を営んでいるお父さんは、現役のボディビルダーでもある。今も店が終わってから週6〜7回、ジムで鍛えているという体は、とても御年60歳には見えない。

 そして、ドラゴンボールの亀仙人のような長い髭を蓄えた独特の風貌は、一度見たら忘れられないインパクトを放っている。お客さん相手の仕事だから、ノリもいい。寡黙な琴勝峰にも、お父さんバリのノリが少しでもあれば、一気に上に行くかもしれないね(笑)。

貴闘力忠茂(たかとうりき・ただしげ)
1967年9月28日、兵庫県生まれ。二子山部屋(入門時は藤島部屋)入門後、83年に初土俵。最高位は東関脇。2000年に幕尻(前頭14枚目)で初優勝する。02年に引退し、大鵬部屋の部屋付き親方となるが10年に野球賭博関与のため日本相撲協会を解雇される。現在は焼肉店『ドラゴ』を経営。SNS:X 貴闘力部屋〜相撲再生計画〜(@takatorikibeya)、インスタグラム 貴闘力部屋(takatoriki_official