■黒川・杉野遥亮のネルラ・松たか子への不自然な恋愛感情
X上では、《黒川がネルラに惹かれているんだとしたら、ジェネティック・セクシュアル・アトラクションで、黒川=五守説もある気がしてきた》と、黒川が海で死んだネルラの弟、五守ではないかという声が。ジェネティック・セクシュアル・アトラクションとは、離れ離れになっていた近親者が大人になって出会い、性的魅力を感じる現象のこと。
今回、黒川のふるまいから、ネルラへの恋心がはっきりした。しかし、これまでたいして接点がなかったのに、どうして黒川がそこまでネルラに惹かれるのか納得できないところがある。ネルラは魔性の女という設定ではあるが、それだけでは説明不足だ。ただ、視聴者の指摘のように、黒川が弟の五守であり、彼に「ジェネティック・セクシュアル・アトラクション」があるのなら腑に落ちる。
しかし、黒川の年齢を考えると、違うようだ。五守は6歳のとき、末弟のレオが1歳のときに死亡。現在27歳のレオとは5歳差だから、五守が生きていれば32歳。一方、黒川は15年前の布施の事件現場に警察官として立ち会っている。黒川が五守だとすれば、17歳の警察官になってしまうので、“五守=黒川”説は成立しない。
ほかに《犯人は合鍵で家族の部屋(家)に断りなく出入りする、考ちゃんじゃないかな》など、叔父・考(岡部たかし/53)が、布施を殺した犯人という説もある。ただ、「ネルラでも寛でもないのなら……」という、消去法的な感が強い。また、“優しそうな人が犯人”というのも、ミステリー的には面白みに欠ける。
考察は迷走しているが、《感情が落ち着かない。このドラマは台詞か演出か、絶えず不自然で居心地悪さがある》という声があるように、これは作品が終始、不自然な空気に満ちていて、何が起きてもおかしくないから。この演出は、考察をあおるミステリーとしては、見事にハマったと言えるだろう。
はたして真相は? 次回予告では、ネルラの誕生日会で、ネルラが「外で暮らしてみたい」と言い、鈴木家が離れ離れになることに。そして、黒川から幸太郎に、15年前の布施殺人事件の犯人が出頭してきたと電話が入るようだ。次回から始まる第2章の展開に注目だ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。