■ディズニー映画でさえほとんど上映されない事態に

 主力映画の1日の上映数――各地方で最大規模の映画館での内訳は以下の通り(8月20日調べ)。

【東京・TOHOシネマズ日比谷/総スクリーン数13】

・『鬼滅』…11回

・『国宝』…4回

・『東京MER』…5回

・『近畿地方~』…5回

【大阪ステーションシティシネマ/総スクリーン数12】

・『鬼滅』…10回

・『国宝』…5回

・『東京MER』…6回

・『近畿地方~』…6回

【福岡・ユナイテッドシネマ キャナルシティ13/総スクリーン数13】

・『鬼滅』…16回

・『国宝』…4回

・『東京MER』…5回

・『近畿地方~』…5回

 特に『鬼滅』が圧倒的な上映数を誇る一方で、ディズニー&ピクサー最新映画『星つなぎのエリオ』(8月1日公開)、マーベル・コミック原作のアメコミ映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(7月24日公開)といった、メジャーな作品は、以下の通り。

【東京・TOHOシネマズ日比谷】

・『エリオ』…字幕3回/吹替2回

・『ファンタスティック4』…字幕2回

【大阪ステーションシティシネマ】

・『エリオ』…(字幕1回/吹替2回

・『ファンタスティック4』…字幕2回

【福岡・ユナイテッドシネマ キャナルシティ13】

・『エリオ』…吹替2回

・『ファンタスティック4』…字幕1回

『エリオ』は日比谷では吹替版が、福岡では字幕版が21日に、上映終了している。

「スクリーンの数にも限りがありますから、映画館が集客を見込める作品の上映数を増やすというのは当然の話。ビジネスとして仕方のないことではありますが、そのしわ寄せが別の映画に及んでいるということですよね。

 上映数を増やしてもらえない作品の関係者からは“想定外”“参りました”という悲鳴のような声が聞こえてきています。“想定外”というのは特に『国宝』のことで、『鬼滅』の大ヒットは想定していたものの、6月頭に公開が始まった『国宝』の人気がここまで続くとは考えていなかったようですね。

 似た話では、毎年4月頃に公開され、圧倒的な興収を叩き出す『劇場版 名探偵コナン』シリーズは、ピーク時には1日20回近く上映されることも珍しくありません。映画業界における生存競争の結果とも言えそうですが、大ヒット作品の裏側で、泣いている人もいるということですよね……」(前出の制作会社関係者)

 ヒット作と、それ以外の作品の“上映格差”が広がりつつある映画業界。『鬼滅』や『国宝』など超のつく大ヒットが連続したことで、よりそれが顕著となったようだ――。