■運動会で家族一緒にシートを敷いてお弁当……は、もうない!
令和の運動会では、お弁当は教室で食べ、親子で一緒に食べるお弁当タイムがなくなってしまったのも大きな変化。私たち親世代が子どもの頃は、運動会といえば親子でお弁当を食べたものですが、今の子どもたちは教室に戻り、保護者は一旦家に帰って別々に昼食を取るのが主流となっています。
保護者の声も「弁当作りがなくなって本当に助かる」「朝の場所取りも不要で楽になった」「短時間でも子どもの出番があり集中して応援できるのが良い」「競技が減って物足りない」「もっと子どもの活躍が見たい」など、さまざま。家庭の負担が減る反面、家族で過ごす昼食タイムがなくなったことに寂しさを感じる人も多いようです。
また、コロナ以降は全学年で一斉に行う運動会から、学年別に開催するスタイルが増加。感染症対策として入れ替え制を導入する学校が多くなり、「ほかの学年の競技が見られず残念」「盛り上がりに欠ける」という声も。
さらに、わが子の撮影に熱心な保護者にとっては、SNS時代ならでは問題も浮上。「運動会のDVDを後日生徒に配布する」「運動会の動画配信がある」といった理由で、写真や動画の撮影が禁止されるケースも……。
近年では、ダンスや表現活動、親子参加のレクリエーション種目など勝敗がつきにくいプログラムが組み込まれる傾向も目立ちます。運動が得意な子も苦手な子も自分なりに輝ける場所を提供する理念が背景にあるのでしょう。
令和の運動会は「効率」「安全」「配慮」がキーワード。「運動会」という日本の伝統を継承しつつ、子どもたちや保護者の「思い出」となるイベントであってほしいものです。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだ・あおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。