■昭和の“三高”、平成の“三平”から激変

 恋愛に対する価値基準にも違いが見られます。

 昭和では「三高(高学歴・高収入・高身長)」、平成では「三平(平均的収入・平凡な外見・平穏な性格)」に移り変わったと言われていましたが、令和においては「三低(低姿勢・低依存・低リスク)」が女性から求められる要素になっているそう。

 さらには「3C男子」という言葉も登場。これは「Clean(清潔)」「Communication(会話力)」「Cooperation(協調性)」の3つの頭文字をとったもので、外見よりも内面の整いが評価される傾向です。逆に注意されがちなタイプとして、「3B」(美容師・バンドマン・バーテンダー)も話題に。“モテるが恋愛には不安定な職業”の象徴として扱われています。

 ほかにも2020年代以降に浸透してきたのが「YSK男子」というワードで、これは「優しい」「清潔感がある」「気配りができる」の頭文字をとった略語。これらの要素を自然に持ち合わせている人が“モテる”傾向が強まっているようです。

 ネット上では、令和世代から「バブル時代と違い、高学歴だからといって良い就職に就けるとも限らない」「今現在が高収入でもリストラのリスクがある」「高身長だからといって生活に影響があるわけではない」などと、かつての「三高」への反論も……。

「今の若い世代は、“モテたい”という目的で動くのではなく、自分の世界や趣味を大事にしている。そのスタンス自体が女性には魅力的に映る。偽らず、無理せず、でも“自分らしく”見せようとする演出力……このバランス感覚こそが、令和の『モテ』のスタンダードになっています」(前出・エンタメ誌編集者)

 “イケイケ”だったバブル世代からすれば、「隔世の感」といったところでしょうか。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだ・あおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。