■高価格帯サロンも健在で価格帯の二極化が進行

 一方で、高価格帯サロンも健在です。丁寧なカウンセリング、完全個室、オーガニック製品の使用など、接客や空間、技術にこだわる店舗には根強い支持があり、カット1回6000円前後を支払う顧客も少なくありません。価格競争に巻き込まれず、信頼を築くことで安定経営を実現しています。

「現在、美容室市場では『価格帯の二極化』が進んでいます。駅前やスーパー隣接の格安店が拡大する一方、ライフスタイルに寄り添う高価格帯サロンも着実に支持を得ています。消費者も“価格優先”か“品質重視”かに分かれており、それぞれが求める価値に基づいて選んでいるのが現状です。690円でも満足という人もいれば、会話や丁寧な対応を求める人もいます。リピートを高める工夫ができる店は生き残っていけるでしょう」(生活情報サイト編集者)

 実際、ネット上にもさまざまな声が上がっています。

《690円でもちゃんと切ってくれるなら十分。早いし助かってます》

《安いところは早いけど、話が通じなくて残念だった。次は落ち着ける店にしたい》

《価格もだけど、自分の髪質や好みを覚えてくれる美容師さんがいると安心です》

 薄利多売の格安サロン、高単価で差別化を図るサロン――どちらも正解であり、それぞれに支持層が存在しています。これからの美容室はますます「誰にどんな価値を届けるのか」を突き詰めることが求められそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだ・あおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。