日本列島で40℃超えが頻発し、観測史上、最高気温が各地で記録された今夏。こうした異常気象に翻弄されているのは、人間だけではないようだ。
「夏休みに塾に来ている子供たちが、“セミの鳴き声が、いつもより少ない”と言っている。言われてみると、今年はセミの声がうるさい、と感じる機会が少ない気がします。特に、クマゼミの声を、ほとんど聞いていませんね」(都内の塾講師)
NPO法人生物行動進化研究センター理事長で昆虫から爬虫類、鳥類、猛獣といった生物の専門家であるパンク町田氏は、こう話す。
「通常、夏の盛りに大合唱するはずのセミの声が、ようやく聞こえるようになりました。異常気象で、セミの活動時期が、ずれてしまっているんですね」
いったいセミの生態に何が起こっているのだろうか。
「幼虫から成虫に変態する段階で、羽化する条件が満たされなかったことが原因です。セミの幼虫は、雨が降ることが刺激となって、羽化に進みます。ところが、今年は空梅雨で雨が少なく、さらに湿度も不足して、羽化がうまくいかなかったんでしょう」(パンク町田氏)
羽化に必要な体力を使い果たし、そのまま死んでしまった個体も相当数いるという。つまり、今夏に発生した“セミが鳴かない”現象は、空梅雨が大きな原因と言えそうだ。
「もちろん、暑さによる影響も見逃せません。クマゼミは35℃を超えると、活動が鈍り、あまり鳴かなくなるという研究結果がある。また、夕暮れ時に“カナカナカナ”と鳴くヒグラシは25℃以下を好むため、大都市ではほとんど見られなくなりました」(気象予報士)