■コイ、フナ、ナマズ880匹が酸欠死
また、空梅雨と猛暑により、生き物が豊富な水辺にも異変が生じているという。
「水たまりで繁殖していたアマガエルは、干上がった場所で卵やオタマジャクシごと死んでしまったケースもあります。
カエルが減ると、彼らをエサにする蛇やサシバといった鳥も、食料が足りず困る。自然界の食物連鎖全体が、連鎖的に揺らいでいる可能性は十分あります」(前出のパンク町田氏)
8月13日には、大阪城公園の東外堀で大量の魚の死骸が浮いているのが見つかり、コイやフナ、ナマズ、約880匹が回収された。
「水温が上がると水中の酸素が少なくなり、魚は酸欠状態に。加えて、微生物が増えて酸素をさらに消費するため、大きな魚から順に死んでいくんです。鯉など、酸素を大量に必要とする魚が真っ先に影響を受けます」(前同)
気温の異常な上昇は、昆虫界にも影響を与えている。去年に続き、カメムシが大量発生しているのだ。
「逆にカメムシは、高温になるほど繁殖しやすい。セミが減った分、樹液を吸う役割をカメムシが担っているのかもしれません。ただ、カメムシは人間の作物を食い荒らすため、農業被害につながるんです」(同)
地球温暖化の行く末に広がるのはどんな光景か……。
パンク町田(ぱんくまちだ)
1968年、東京都生まれ。NPO法人生物行動進化研究センター理事長、動物研究家。近著に『パンク動物記 アフリカの最強動物』(ポプラ社)、『モテたい! 生きたい! 変色生物超百科』(ポプラ社)等がある。