■父・誠治が結婚に執着するわけは
愛実とカヲルが距離を取ったことでより愛は高まり、ドラマは盛り上がってきたが、今のところは不穏なことだらけだ。川原は言動に幼児性がモロ出しだし、肝心の愛実も父親の「オムツ」という言葉にキレるなど暴走気味。カヲルの「脳にわずかな出血」はスルーされていたが、視聴者が心配しているように、絶対に伏線となるだろう。
ほかにも、ホストクラブ「THE JOKER」の社長・松浦(沢村一樹/58)が、カヲルの実父という説もある。カヲルにホストをやめさせようとしているのも、彼のホストに徹しきれない性格を知っているため、将来を心配してのことかも。本当に実父であり、カヲルの母・奈央(りょう/55)を捨てているとしたら、本作の悲劇の根源は松浦なのかもしれない。
さらに、《もしかして会社クビになった?女が男に逆らうようなこと絶対に許さないモラハラ男なら会社でも何かやらかしてる気がする》など、父・誠治のリストラ説もある。川原に結婚を急がせているのも、大手銀行員である彼を身内に引き込み、再就職を目論んでいると考えると納得できる。愛実と結婚させるため、今後はその理不尽さが加速しそうだ。
逆に、愛実とカヲルの味方になってくれそうな人物もいる。カヲルを慕う後輩ホスト・竹千代(坂口涼太郎/35)、モラハラ夫のもとで長年我慢をしてきた愛実の母・早苗(筒井真理子/64)、愛実の同僚で同性愛をカミングアウトした佐倉(味方良介/32)だ。クズ人間だらけの中、ハッピーエンドの鍵になるのはこの3人しかいないだろう。
ラストは、開店前の「THE JOKER」で常連客の宇都宮明菜(吉瀬美智子/50)が、No.1ホストのつばさ(荒井啓志/26)に刃物を向け、かばった竹千代が刺されるという衝撃の展開だった。しばらくはドロドロの人間模様が描かれそうだが、幸せなラストに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。