■上海店を手伝ってもらったことも……
翌場所も琴富士さんと同じ佐渡ヶ嶽部屋の琴錦(現・朝日山親方)が優勝した。
28歳で現役を引退した琴富士さんは、しばらく部屋付きの親方(粂川親方)をしていたが、相撲協会をあっさり辞めて、タレントに転向した。生来、明るい性格で人が寄ってくるタイプ。トークも切れるし、演技もできる。でも、オレと同じでバクチが大好きだったんだ。
そんなこんなで、『ドラゴ・上海店』を手伝ってもらうことになったのだが、言葉のハンデから、現地スタッフと意志の疎通がうまくいかなくて、数年後、日本に帰国した。実は、タレント時代の最後のほうは、オレが師匠を務めていた大嶽部屋で一緒に暮らしていたこともある。
数年前からは神戸で生活をするようになって、ユーチューブも始めていた。もともと話がうまいから、内容も分かりやすい。滑舌の悪いオレにとっては、同じユーチューバーとして、羨ましい存在でもあった。
でも、60歳って早すぎますよ、琴富士さん。ご冥福をお祈りいたします。
貴闘力忠茂(たかとうりき・ただしげ)
1967年9月28日、兵庫県生まれ。二子山部屋(入門時は藤島部屋)入門後、83年に初土俵。最高位は東関脇。2000年に幕尻(前頭14枚目)で初優勝する。02年に引退し、大鵬部屋の部屋付き親方となるが10年に野球賭博関与のため日本相撲協会を解雇される。現在は焼肉店『ドラゴ』を経営。SNS:X 貴闘力部屋〜相撲再生計画〜(@takatorikibeya)、インスタグラム 貴闘力部屋(takatoriki_official)