■最終回は特大のどんでん返しか
布施(玉置)殺しの凶器の燭台と考(岡部)の言葉から、レオ(板垣)犯人説が急浮上した。だが、当時12歳のレオに人を殺すことはできたか微妙だ。また、火事はレオが自殺を図ったものだとしても、家族を巻き込むようなことはしないはず。ということは、レオ犯人説はミスリードではないだろうか。レオと考の共犯ならあるかもしれないが……。
ほかには、《事件の後、海外に行ってた画商の人が怪しい》などと、布勢の才能を見出していて、ネルラが原因で布施が死んだと主張する元画廊のオーナー、あるいは少数派で黒川(杉野)が犯人だと考察する声もある。ただ、ここまでネルラ(松)とその家族を描いてきて、無関係な部外者が犯人というのは、物語としてまとまりを欠くだろう。
中川慎子プロデューサーはネットメディアのインタビューで、「最終回は最終回の先がある」という旨の発言をしている。また、阿部サダヲはインタビューで、本作を「誰が犯人かを考察するより、“幸せってなんだろう”ということを考える作品」であると語っている。犯人探しが、物語の焦点ではないことは確かだろう。
一部の視聴者は、《ネルラが取り戻したという記憶は全部本当なのか?》などと疑っているが、そもそもネルラは嘘をついていて、当日の状況自体が間違っているという、特大のどんでん返しもあるかもしれない。
過去にはネルラを「嘘つき」と指摘するセリフもあり、魔性の女・ネルラの本当の姿が明らかになるか、それは物語をどこに導くのか、今後の展開に注目だ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。