■ショッキングなシーンが描かれた背景

 前出の映画ライターは続ける。

「劇中に津波というか、震災を連想させる描写があり、観た人から“ショッキングだ”という声が上がって物議を呼んでいたんです。原作の“異変”にも津波のような描写はありましたが、それとは比べ物にならないくらいに質感が生々しいし、その場面での主人公(二宮)の行動も含めて”直視できなかった”という声もあります。

 そして、こういった災害描写がある作品は公開前、事前に注意喚起をすることが多いものですが、今回は公式がアナウンスしていなかったことから、実際に観た人の間で“事前にアナウンスしないのはどうなんだ”という声が寄せられていたということですね。映画の大ヒットにより、さらにそういった声が大きくなっている感じもあります」

 映画『8番出口』を観た人々からは、

《8番出口映画には直接的な津波描写と津波巻き込まれ描写があります ネタバレとか言ってる場合じゃないガチのやつです 見る人は本当に注意してください これ警告無いの正直ありえないよ》
《津波の表現が原作の比じゃない位ガチでリアルになってて、駄目な人は映画館飛び出すレベルだと思う》
《耐えられなかったのか席を立った方がいました。 東北の映画館はどうだったんだろうか。。。 公式が出さないなら映画館の判断で出してあげてほしい》
《確かにあれは配慮すべきだった ホラー映画という前提とかネタバレとの兼ね合いもあるけど今の時代は事前に言っとくのが吉ね》

 といった、“事前に警告すべきだった”とする声が多く寄せられている。

「観客の声にもありますが、おそらく公式サイドは当初、映画の性質上どうしてもネタバレになってしまうこともあり、事前の注意喚起をしなかったのではないでしょうか。ただ、公開後に観た人から多くの意見が上ることになり、注意喚起をすることになったのかもしれませんね」(前同)

 ショッキングなシーンへの注意喚起のアナウンスが遅れたことは問題だったかもしれないが――、

「ひとつだけ言えるのは、津波の描写はその場面に至るまでの主人公の葛藤や、多くの積み重ねがあったうえでの、物語上とても大切なシーン。制作陣も恐怖を煽るような目的で、その描写を入れたのではないと言えます。

『8番出口』には、映画の監督兼脚本を務めた川村元気氏による公式ノベライズ本(水鈴社)がありますが、そちらでは津波に関する主人公のバックボーンなどが、より鮮明に描かれています。それを踏まえたうえで映画を観ると、より重要に感じられるシーンかもしれません」(同)

 公式から注意喚起も出たこともあり、これから観るという方々にはショックなシーンがあることを想定して、話題の大ヒット映画を楽しんでいただきたい。