■『明日はもっと、いい日になる』は真面目すぎたか
問題の原因をひとつに絞るのではなく、姉と妹、両親それぞれの思いを丁寧に描き、X上では、《病気の身体で生まれた子にごめんねと謝る母。生まれたままの私を好きなんだという娘。気づくと泣いてた…》《親→子、子→親、子→子、それぞれの方向の気持ちの揺れを丁寧に描いて、前向きになれる結末だった》などと称賛されていた。
毎回登場するゲストは月9ドラマにしては豪華ではないが、林遣都をはじめ、生田絵梨花(28)、風間俊介(42)、小林きな子(47)、柳葉敏郎(64)ら、児童相談所と一時保護所のスタッフなど、共演陣がしっかり福原遥を支え、物語と主人公のキャラに深みを与えている。福原はサブ的な立ち位置にいることも多いが、丁寧な演技で称賛の声も多い。
それでも視聴率の数字が伸び悩むのは、ストイックすぎる作りが敬遠されたのかもしれない。たとえば、児童相談所をメインにしたエピソード以外に、スタッフそれぞれの関係、恋愛とまでいわなくても、もう少し柔らかいエピソードを描いても良かったのではないだろうか。
過去に付き合っていた蔵田(林)と児童心理司・向日葵(生田)に、なにか動きがあるのかと思えば、進展は見られなかった。ほかに、児童福祉司のリーダー・蜂村(風間)の場合も、家庭の事情が児相と絡んでいたりと重いものだった。テーマに対して作り手がストイックすぎたのかもしれない。ホッと息をつけるのが、ラストの翼(福原)と蔵田コンビの漫才だけというのはちょっと寂しい。
しかし、『明日はもっと、いい日になる』が良作なのは間違いない。次回は、蔵田の実父・総一郎(板尾創路/62)が登場する。総一郎の虐待がきっかけで、幼い蔵田が児童相談所に保護され、南野丞(柳葉)が里親になった過去があるらしいが、最終回に向けて、どんな展開が見られるのか期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。