■「先入れ」と「後入れ」を実食して比較してみた
そこで、同じカップ麺を2つ準備し、どれほどの違いがあるのか、実際に検証してみることにした。
スープは「後入れ」の表記だが、片方は指示通りに、もう一方は「先入れ」で作り、食べ比べてみる。
確かに先入れにしたほうが手間は楽。調理後の2つを隣にしても見た目に大きな差異はない。
しかし、最も両者の違いを感じたのは、やはり麺の状態だった。指示通りに調理したほうは、しっかりほぐれた細麺で口に入れてもツルツルとした舌ざわり。一方で先入れにしたほうは、麺を持ち上げた瞬間“ゴソっと”絡まって上がり、口の中でも麺の形がわかるほど硬め。しかも、一部お湯で「戻っていない」硬い箇所もあった。
スープに関しても、先入れにしたほうが心なしか塩味が前に出ている印象だ。味のまろやかさやうま味は指示通りに作ったほうが感じられる。
粉末なのか液体なのか、先入れか後入れか――。そこには、おいしさを求めるメーカーの工夫が詰まっていたのだ。
「調理手順がシンプルで、熱湯で素早く溶け広がってスープの塩味や旨味が麺に染み渡る粉末スープと、麺にお湯が染み込むのをさまたげずに、ベストな状態で麺の食感と風味をお楽しみいただける“後入れ”の液体スープ。商品ごとの特性に応じて形状を使い分けています」(前出の日清食品広報部)
メーカーが設計したベストな一杯を楽しむには、この数十秒の手間は些細なもの。今後、カップ麺を食べるときはパッケージ通りに調理し、メーカーの試行錯誤とこだわりに思いを馳せるのがいいだろう。