日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、本サイトで現代の時流を徹底解説。いま戸田氏が注目するのは、若手社員には通じない“職場の上司語録”だ。
かつて職場では日常的に使われていたビジネス用語が、今や若い世代にはまったく通じないという現象が広がっています。日常の会議や商談の中で飛び交った言葉の数々が、今の若手には“意味不明”に映るのです。
たとえば「一丁目一番地」。政治や行政でよく使われてきた表現で「最優先事項」を意味しますが、今ではただの地名としか受け止められません。「よしなに」も「いい感じに取り計らう」という意味ながら、若手からは「いったい何をどうすればいいのか曖昧すぎる」と困惑する声が多く上がっています。「鉛筆なめなめ」も、「丁寧に考える」という意味合いより先に不快な響きが先行し、死語化しています。
「ガラガラポン」(仕切り直す、白紙に戻す)、「テレコ」(あべこべ、入れ違い)、「イッテコイ」(上がって下がって元に戻る)、「ガッチャンコ」(まとめる、一緒にする)、「手弁当」(報酬をあてにせずに働く)、「ダマでやる」(こっそり進める)、「全員野球」(一致団結する)、「落としどころ」(妥協点)、「仁義を切る」(事前に断る)など、かつては会議や商談で自然に飛び交った言葉が、今では若い世代には意味が伝わらず、思わぬ誤解を生むこともあります。
「ペライチ」(一枚ものの資料)、「エイヤで」(勢いで)、「座組み」(プロジェクトメンバー)、「バラす」(予定をキャンセルする)、「ボールを持つ」(作業の主導権を握る)、「にぎる」(合意する)、「尻を叩く」(催促する)、「ロハ」(無料)、「大蔵大臣」(経理担当)、「おいくら万円」「勉強する」(値引き交渉)、「シャンシャン」(会議の締め)といった言葉も同様です。