■“上の世代“にとっては懐かしい言葉だが…
「古い用語にはその時代の働き方や文化が染み込んでいます。上の世代にとっては懐かしい響きですが、若手は首をかしげるばかり。大切なのは用語そのものではなく、それを通じてどう意思疎通を図るかです。世代間のギャップを笑い合える余裕があれば、職場の雰囲気も柔らかくなります」(ビジネスサイト編集者)
ネット上でも世代ごとのリアルな声が目立ちます。
上の世代からは、「“よしなに”が通じないと聞いてショックだった」「部下に“ガラガラポン”と言ったら、怪訝な顔をされた。世代差を痛感」「言葉を変えるのも仕事の一部。死語を押し付けても仕方がない」といった声が聞かれる一方、若い世代は「“全員野球”って言われても。本当に野球の話かと思った」「“ほうれんそう”は知っているけど、チャットですぐ済むから使わない」「古い言葉を知らなくても困らない。必要ならその場で覚える」といった冷ややかな声も……。
一方、死語は“上司世代”と“若手世代”の間で生まれるものに限りません。
「タレントのみちょぱ(池田美優)さんは今年5月、自身のインスタグラムに“卍っていつのまにか聞かなくなったよね だからあえて、まじ卍”と投稿。変わるギャル文化へのノスタルジーを感じさせました」(女性誌編集者)
時代を象徴する流行語だからこそ、時代が変われば、使われる言葉も変わります。
「ビジネス用語以外にも、『オフィスラブ』『ナイスミドル』『アバンチュール』『アベック』といった表現は、現代では時代錯誤。使い方次第ではセクハラと受け取られる危険もあります」(前出・ビジネスサイト編集者)
言葉は時代を映す鏡であり、同時に過ぎ去る時代の残り香でもあります。言葉の変遷を振り返ることで、働き方や価値観の変化を映し出すことができるのです。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼(とだ・あおい)
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。