■ネルラ・松たか子の本当の姿とは――

 犯人はわかったものの、いまひとつすっきりしない。中川慎子プロデューサーはインタビューで「最終回は最終回の先がある」という旨の発言をしていたから、事件解決以外にまだ大ネタが待っていそうだ。それはなにか? 本作のもともとのタイトルが『ネルラという女』だったそうなので、そのネタはネルラ(松)の秘密だろう。

 ポイントになるのは、おそらくネルラと布施(玉置)の関係だ。ネルラは魔性の女とされているが、行動や言動がズレているだけで、ここまで魔性と思わせる描写はない。画商の三杉(森本のぶ/45)がネルラについて「(布勢は)絵が完成したら結婚すると言っていた」「あの女にやられたと思いました」と証言したり、美大の元同級生もネルラを非難していたが、実はこのエピソードはまだ回収されていない。ネルラは本当に魔性の女なのだろうか?

 次回予告に映ったネルラのメールに「わたしはほんの遊び心で布施の画風」と見えたため、X上では、《画家としたら嫌だよね、絵画のプロである恋人に自分の画に何かされるのは。 新しい手法を試そうとしてたし、ブレて何が良いわからなくなっちゃいそう》など、布施がおかしくなったのはネルラのせいだと指摘する声もある。

 布施はネルラの父・寛(段田安則/68)に、イタリアンレストランをやりたいから金を貸してくれと頼み、出資を拒否されるとレオ(板垣)を偽装誘拐するようなクズ男なのだが、実は布施自身のパーソナルな部分は描かれていない。画家として追い詰められていたのは確かなのだろうが、本当は布施という男は悪い男ではなかったのかもしれない。

 具体的なところまでは推測できないが、これらの要素から、最終回でこれまで描かれなかったネルラの悪女としての本性が明らかになる可能性が高い。本作のうたい文句は「夫婦の愛を問うマリッジ・サスペンス」なので、本性を明かしたネルラを、幸太郎がそれでも愛せるか、ということを問うのだろう。

 次回は、幸太郎とネルラが離婚して1か月が経ち、ネルラは美術館の修復の仕事を始めていたが、突然、鈴木家から姿を消してしまう。布施の絵が大きく関係しているようだが、ネルラの秘密が明らかになる最終回に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。