■唐田えりかと伊藤健太郎を起用した“狙い”“メリット”は――

『101回目のプロポーズ』のヒロイン・薫(浅野)は、当時の視聴者の間でも好みが別れる、不器用で情緒不安定な小悪魔系のキャラクターだった。

 そして唐田も、そういった役が得意な女優の1人であり、また彼女の“これまで”もあるのだろう《小悪魔的可愛さが絶妙》《視聴者を引き込む魔性感を感じる》といった意見も多い。

「そして伊藤さんですが、彼は同じくフジテレビを代表する、鈴木保奈美さん(59)と織田裕二さん(57)によるトレンディドラマ『東京ラブストーリー』(1991年1月期)のリメイク版にも主演していたし、フジドラマのリメイク作品に縁がありますよね。

『東京ラブストーリー』のリメイク版(20年4月配信)もやはりFOD先行配信作品。有料のFODに視聴者を持って来れる俳優、というところを意識しての起用かもしれません」(三杉氏、以下同)

 現在は多くの人が、特にドラマなどは配信サービスで見る時代であり、テレビ各局はそこにユーザーを誘導して収益化を意識している。

 そして伊藤は、“FODの看板俳優”として期待されている。前述の『東京ラブストーリー』や今回の『102回目のプロポーズ』だけでなく、今年1月期に新設された、FODありきの深夜ドラマ枠「カンテレ×FODドラマ」枠(木曜深夜2時15分~)の第1弾作品『未恋~かくれぼっちたち~』でも主演を務めていた。伊藤には熱烈なファンが多いことから、FOD会員への誘導を意識しているのでは――という意見も聞こえてくる。

「伊藤さんは、彼自身より年上の女性にも人気があるんですよね。その意味でも、90年代の名作ドラマ『101回目のプロポーズ』の続編である『102回目のプロポーズ』との相性はいいかもしれませんね。

 伊藤さんは、今年6月には名優・小沢仁志さん(63)のYouTubeチャンネルに出演するなど最近は幅広い層にリーチするような活動が目立ちますし、完全復活に向けて、気合いが入っているのではないでしょうか」

 また三杉氏は、唐田と伊藤がキャスティングされた理由を「鈴木さんの戦略では」と指摘し、こう続ける。

「『102回目のプロポーズ』は地上波でも放送されるとはいえ、まずは配信が勝負の作品。お金を払った人だけが見る配信作品はクレームが来るリスクも少ないですから、話題性を重視してキャスティングをしたのではないでしょうか。

 鈴木さんはやり手の放送作家でしたから、その辺の戦略もうまいはずです。過去には、不倫疑惑が報じられてドロ沼離婚をした篠田麻里子さん(39)に“不倫妻”を演じさせる、大胆なキャスティングをしたこともありますからね」

 篠田は、19年2月に3歳年下の一般男性との結婚を発表し、20年4月に長女をもうけ、ママタレントとして活躍してきたが、22年8月に篠田と旅行会社社長の不倫を疑った前夫が、長女を連れて家を出て行ってしまって別居状態に。篠田は不倫疑惑を一貫して否定していたが、夫婦の争いは泥沼の様相を呈し、23年3月に離婚した。

 そんな篠田を、鈴木氏は伊藤淳史(41)主演の『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』(テレビ朝日系/24年1月期)に、”不倫する最低妻”役で起用。話題性、篠田の熱演から、同ドラマはSNS上で大バズり。TVerなど見逃し配信再生回数ランキングでは目覚ましい結果を残した。

「『101回目のプロポーズ』は伝説のトレンディドラマ。おそらく、往年のドラマファンから厳しい声は出るでしょうが、今の唐田さんと伊藤さんなら、良い結果を残せる気がしますね」

 キャスト発表の時点で大いに話題となっている『102回目のプロポーズ』。すでに、鈴木氏の狙いは奏功しているのかも――。

三杉武(みすぎ・たけし) 芸能評論家
早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身。豊富な人脈をいかし、芸能評論家として活動している。多くのニュースメディアで芸能を中心にしたニュース解説を行ない、また「AKB48">AKB48選抜総選挙」では“論客”とて約7年間にわたり総選挙を解説してきた。