■芸能評論家が分析する「藤井風の魅力」
独創的な世界観を、歌だけでなく衣装でも表現しているようにも思える藤井――芸能評論家の三杉武氏はそんな藤井をこう分析する。
「藤井さんはR&Bやソウルミュージック、歌謡曲など、多くのジャンルを融合させた独特な音楽性や、キャッチーなメロディ、歌唱力、そして自己プロデュース力から圧倒的な支持を誇るアーティストですよね。
基本的には全部セルフプロデュースですから、MVやライブでのファッションも、藤井さんの意向が強く反映されていると思われます」(三杉氏、以下同)
藤井には、自身の世界観を表現するためのクリエイティブチームがいる。もちろん衣装デザインチームもいて、藤井の特注衣装にフォーカスした巻頭企画が8月4日発売のファッション誌『WWD JAPAN』(INFASパブリケーションズ)で組まれたこともある。
「藤井さんの音楽性の高さは、多くの音楽業界の関係者からも評価されていますよね。端的に言うとセンスが良いんですよね。ピアニストとしての下地もありますから、よりハイセンスに感じられると。そういった表現力が、ファッションにも生かされているのかもしれません。音楽的才能に富んでいる人が、ポップス的な、一般層にも親しめる音楽をやっている。加えて、独自の世界観も評価されているのではないでしょうか」
藤井は3歳の頃からピアノを弾いていて、その流れで多様なジャンルの音楽に触れてきたようだ。ピアノだけでなく、エレクトーンやサックス演奏も堪能――。
「そして、藤井さんはアーティストとしてワールドツアーを成功させるなど、“大きな結果”を出していますよね。だから、ファンも奇抜な衣装に驚くことはあれど、“着こなせている! 流石!”という感じですよね。
実績を積み上げているから、風変りだったり奇抜な衣装を着ていても、しっかりと“彼らしい”と受け入れられている。衣装から入っているわけではないですよね。SNSの声にもありますが、やはりレディー・ガガ(39)みたいな感もしますね」
世界的歌手であるレディー・ガガは、やはり奇抜で独創的なファッション、パフォーマンスを行なうことで知られる。彼女は、2011年7月には『徹子の部屋』に、風船のように膨らんだレザーのブラックドレス姿で登場したが、
《藤井風は日本のレディー・ガガってこと?》
《藤井風がガガみたいになってる!!》
など、今回の藤井の奇抜なファッションでそれを思い出した人も少なくない。
「実力のない人が目立とうとして変な衣装を着たり、ましてやそれで『徹子の部屋』に出たら批判されますよね。しかし、藤井さんの場合は受け入れられている。これも、彼の人気の裏付けでしょうね」
表現者としての矜持を感じさせる藤井の独創的なファッション。それもまた、人々を惹きつけているのだろう――。
三杉武(みすぎ・たけし) 芸能評論家
早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身。豊富な人脈をいかし、芸能評論家として活動している。多くのニュースメディアで芸能を中心にしたニュース解説を行ない、また「AKB48選抜総選挙」では“論客”とて約7年間にわたり総選挙を解説してきた。