■これまでの大河で一番な橋本愛
ていは眼鏡を外して蔦重を戒めたが、その一方で、蔦重たちと一緒になって屁踊りをしたり。X上では、《橋本愛さん、最後思わず笑っちゃった。ユーモアがあって賢い方。やや聞く耳持たない風で、ちょっと投げやりな蔦重の意識を自分に向けさせて、まっすぐ「明鏡止水」を叩き込みたかったからかな》など、橋本を称賛する多くの声があった。
ほかにも、《おていさんが眼鏡を外すところに物語の転機あり」》という声もあったが、まさにその通りで、今回で世の中の空気が一気に変わってきた。オープニング映像が変わり、新たな展開が始まったことで、重苦しい空気が漂ってきたが、わずかな光が射していたのは、ていがいるからこそと言えるだろう。
これまで蔦重の後ろ盾は田沼意次だったが、これからバックアップするのは妻・ていだ。意次の退場によって物語が切り替わる回だったが、蔦重を支える人間もバトンタッチした。危なっかしい蔦重を仕切り、もり立てるのは私だと言わんばかりの、ていの思いを表現する橋本愛の熱演だった。
これまで、花魁の瀬川(小芝風花/28)と誰袖(福原遥/27)が物語を彩ってきた。ドラマの世界観の核になってきたのは女性だったが、その中でも、ていが最重要人物だろう。橋本は大河で3度目の主人公の妻役だが、本作が一番生き生きして見える。後半戦のていの活躍に注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。