相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。

 9月1日、大相撲秋場所の新番付が発表された。東横綱に大の里、西には豊昇龍。大関は琴櫻1人だが、東関脇には「大関取り」にリーチがかかる若隆景が座る。

 大関昇進の基準(3場所で33勝以上)は、若隆景が秋場所で11勝以上を挙げればクリアできる。年齢こそ30歳だが、膝の負傷が癒えた今、またとないチャンスが巡ってきた。一発で決めたいところだ。

 こうした話題の一方、角界に潜む「イジメ問題」はいまだ解決の道が見えない。以前、この連載で何度か紹介してきた元琴貫轍(佐渡ヶ嶽部屋)は、コロナが蔓延しているときに、心疾患を理由に休場を申し出たが、受理されなかったため、引退した。ただ、それ以外にも、部屋の兄弟子から陰湿なイジメに遭っていたのも引退の一因だった。

 そこで、琴貫轍は師匠(佐渡ヶ嶽親方=元関脇・琴ノ若)を相手に裁判を起こしたのだが、負けてしまい、今はオレが経営する「焼肉ドラゴ」の裏方として働いている。