阪神タイガースのレジェンド、“ナニワの春団治”こと川藤幸三が猛虎愛を語り尽くす熱血コラム。OB目線の激励から時には喝も……熱き魂が炸裂する!

 ホンマに、よう練習するやっちゃなあ。それが5年前、タイガースに入ってきたばかりの石井大智の印象やった。キャンプの段階から毎日毎日しっかり投げ込み、投げないときは黙々と走り込みや。グラウンドに姿が見えんと思ったら、室内で熱心にウエイトトレーニングをしてたわ。

 今年の自主トレで、ワシは石井に聞いたんや。

「おまえ、そこまで練習して、よう体が持つな。しんどくねえのかよ」

「カワさん、僕は練習しないとダメなタイプなんですよ。誰よりも投げ込み、誰よりも練習しないと、不安で、しょうがないんです」

 近頃の選手で石井のように考えるヤツは、そうはおらん。メジャー流なのか何なのか知らんけど、今は10球、20球投げたら、ハイ終わりというピッチャーがほとんどやからな。

 ワシらの時代のピッチャーは、約3週間のキャンプで2000球、3000球を投げ込むのが当たり前やった。江夏さんにも、そのあたりを聞いたことがある。

「カワ、村山さんが今日は200球投げたと聞いたら、ワシは次の日、300球投げるわ。練習で先輩以上のことをせんかったら、その先輩には、いつまでたっても勝てん。だから、当たり前のことをしてるだけや」