日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。ここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。
「1つだけ、ドラえもんの秘密道具をもらえるとしたら、武さんは何が欲しいですか?」
以前、トークショーの中で、小学生の男の子から、こんな質問をいただいたことがあります。
記憶がはっきりしませんが、おそらく10人中8人の人が欲しいと思っているであろう『どこでもドア』と答えたような気がします。
海外での競馬も、シートに座るなり寝てしまうという必殺技を持っているので、時差ボケに悩まされたという経験がほとんどありませんが、週末、海外の競馬に乗ろうと思ったら、同日に日本では騎乗できません。
それが、『どこでもドア』があったら、日本と海外へ瞬時に移動することができるので、日本で乗った同じ日に、海外の競馬に乗ることもできるし、その逆もOKになるので、騎乗できるレースが増え、競馬が2倍、3倍に広がるような気がします(笑)。
その他にも、食べたい料理が出てくる『グルメテーブルかけ』や、聴診器のセンサーを当てるだけで、病名を診断し、治療薬を出してくれる『お医者さんカバン』にも興味はありますが、今、一番欲しいものは? と聞かれたら、これ。耳に装着するだけで動物の言葉を聞き取り、理解できるようになる『どうぶつごヘッドホン』です(笑)。
「今日は体調がイマイチなんだよな」とか、「右の後肢がちょっと痛い」とか、「今日は絶好調だから」とか、その日の体調、気分が分かれば、乗り方も違ってきます。
「さぁ、今日は、どう走ろうか?」
「前半は中盤待機。4角から上がっていって、直線勝負がいいと思う」
「よし、それでいこう!」
レース前に作戦会議ができたら、もう最高です。