■専門家が「平等ではない」と感じたところ
今回のヒカルの“オープンマリッジ”宣言はなぜ大炎上したのか? 本サイトは、これまで4万人近くのカップルの結婚や離婚の相談に乗ってきた夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏に話を聞いた。
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――ヒカルさんの“オープンマリッジ”宣言が炎上しています。これまで長くファンだった人も離れるような事態になっていますが……。
「まず、オープンマリッジという考え方は日本人には受け入れ難いと思います。日本にはそういう制度はありません、あくまでも欧米の一部にあるものです。それぞれ国や州によって法律や制度は異なります」(池内氏、以下同)
――アメリカやイギリスなどとは制度が違う?
「そうですね。日本の結婚は法律で一夫一婦制と定められています。私はこれまで約4万人の結婚と離婚にかかわる相談を受けています。そのなかで国際結婚をした夫婦がオープンマリッジの相談に来たことはありますが、日本人同士のご夫婦でオープンマリッジの話は聞いたことがありません」
―― 今回の動画では、妻のノアさんがオープンマリッジに納得していないように見える時もあり、会話の内容からヒカルさんが強く推し進めたようにも感じられましたが、これについてはどうお考えでしょうか。
「そこは、ご本人同士は“同意している”と主張しているので……。
ただ、これが入籍前の婚前契約で、オープンマリッジの話を交わしているであれば良いかなとは思います。たとえば、浮気をしても嫉妬をしない、離婚の際に慰謝料請求しない、といった誓約書を交わしているのであれば、日本でも成立する可能性はあります。
その上で、私は今回の動画で“平等ではないな”と感じたところがありますね」
――それはどういうところですか?
「ヒカルさんは、自分が“浮気する”“ハーレムを作りたい”と言っている一方で、ノアさんに“ホストに行ったり、飲みに行ったりしているじゃない”という話をしていましたよね。つまり、浮気とホストクラブで遊ぶことを同じ価値で語っている。これが“あれ?”と思いました。ノアさんが複数の男性と性行為に及んだら、ヒカルさんは大丈夫かしら、と」
――“浮気”の捉え方が違うかもしれないと。
「ヒカルさんは自由奔放に見えて、実は古風な人ではないかと感じます。古風な男性は、女性がホストクラブ通いをしたり、飲みに行くことを良くないことだと考えることが多いですよね。ヒカルさんがその感覚で“そういうことを俺が許しているんだから、俺が浮気するのもOKだよね”というふうに聞こえました。
ヒカルさんの価値観では、女性のホストクラブ通いは男性の浮気と同じくらい世間から責められる悪いことだという感覚でしょうか。
さらに動画では、ヒカルさんが浮気をすることで彼女を傷つけることもあるかもしれないけど、それも“特権かな”との発言があり、これも古風な感じですね」
――世間的にヒカルさんは、従来の価値観にとらわれないというか、そうした新たな生き方をしている感じのイメージが強いですが、古風な感じも伝わってくるんですね。
「ヒカルさんの魅力は、華やかで破天荒で、普通の人にはできないことをするところにあると思いますが、古風な考えが根っこにあるからこそ、今回の話も“どうしても言っておかないといけない”みたいな面も感じられました。
あの動画では、がんばっているのはヒカルさんの方だと感じられる部分もありました。“俺はこんなに変わったことをする奴なんだ!”“イーロン・マスクなんだ!”と、変わった人でいなきゃいけないという一面も伝わってきます。
変わった人でいなければいけないことと、浮気を好むことは別の話ですが、“世間のイメージするヒカル”となるよう努力している印象もあります。
ノアさんも“ハーレムは良いけど、そこには入りたくない”という話から、昔の日本における”正妻と妾”の位置付けに近い感じがしたので、彼女もまた、古風な人なのかもしれません」
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今回、多くのチャンネル登録者離脱を招いてしまったヒカル。果たして、今後の展開は――。
池内ひろ美(いけうちひろみ)
1961年生まれ。家族問題評論家。吉本興業所属。一般社団法人ガールパワー(Girl Power)代表理事。家族メンター協会代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。これまで約4万人のカップルの結婚・離婚相談に乗ってきた。
1996年より「東京家族ラボ」を主宰。『とりあえず結婚するという生き方』『妻の浮気』など著書31作品。