■『放送局占拠』最大のどんでん返しは――

 考察でも指摘する声が多いが、屋代(高橋)は傀儡子ではなく、沖野(片岡)の言葉は妖たちを惑わせるためだろう。屋代が傀儡子に関係していることは間違いないが、治療をしている裕子(比嘉)に死んだと見せかけるよう頼み、最終回の核心的なシーンに絡んでくるのではないだろうか。なんのために死んだふりをするのかは意味不明であるが、このドラマなら盛り上げるためだけに、突飛な展開を用意してもおかしくない。

 また、死の記者会見に登場した奄美(戸次)、沖野、真鍋(宮部のぞみ/22)も、傀儡子に関係していることが匂わされたので、いまさらこの3人のうちの誰かが黒幕ということはないはず。どんでん返しが信条のこのドラマなので、そんな驚きのないストレートな展開はないだろう。

 大和(菊池)の裏切りから見て、傀儡子は武蔵とも考えられる。だが、公式サイトで出された動画の「I know the True identity of the Puppet Master is Musashi(私は傀儡師の本当の正体が武蔵だと知っている)」というメッセージには、最終回で明かされる続きがありそうだ。

 このメッセージの謎について、X上では、《このままだと武蔵=傀儡師だけど、前シリーズ同様ひっくり返るとすると、続くのは先輩、上司、家族……?もう身内からは武蔵さんが可哀想。何度渾身の「嘘だろ」を言わされなきゃならないのか》などの声が。指摘の通り、傀儡子は武蔵の身内の可能性が高いだろう。

 前作の『新空港占拠』も、武蔵の姉・二葉(奥貫薫/54)が黒幕の山猫だった。このパターンを引き継ぐ可能性は高く、本作では妻の裕子だろうか? 管理官・和泉(ソニン/42)や警部補・本庄(瀧内公美/35)という線もあるが、公式サイトは「最後、これまで見た景色がガラッと変わる」とコメントしている。一番“びっくり”を与えられるのは、やはり黒幕=裕子だろう。

 正直に言うと、今までの描写では裕子が傀儡子になる動機はわからない。しかし、後付けで理由を加えるのは本作の特徴なので、クライマックスで無理やりなんとかするのだろう。はたして傀儡子は誰なのか? 驚きの展開に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。