老害ならぬ『若害』――。そんな物騒な言葉が、ビジネス社会を飛び交っている。現場からは中間管理職の悲鳴が日々上がっているのだ。

 背景にあるのは、Z世代ならではの価値観と行動様式。マーケティングアナリストで芝浦工業大学デザイン工学部UXコース教授の原田曜平氏はこう分析する。

「Z世代は人数が少なく、少子化の恩恵を受けて育ってきました。就職状況は売り手市場、初任給は右肩上がり、転職も容易。だからこそ“嫌なら辞めます”と言える環境が整ってしまった。その結果、マイペース志向が強まっているんです」(以下コメントは全て原田氏)

 このマイペースさが時に職場を混乱に陥れる。

「会議室での発言を録音して、人事部に提出したり、LINEやメールのスクショを証拠に持ち込む。そんな事例は珍しくありません。大手広告代理店では、人事部が何十人単位で総入れ替えになったケースもあるほどです」

 さらに驚くべきエピソードもある。

「先輩が後輩を注意したところ、後日長文メールが届いたんです。『感情を交えた指導は不適切』『最後に言った“残念だったな”という発言は主観だ。謝罪を求める』と。注意した側の上司もさすがに絶句していました」

 働き方の意識にも若害の芽が広がっている。

「最近では『残業キャンセル界隈』なんて言葉が話題です。残業はしないのが当然と考え、正当な権利を盾に建設的な意見すら見えなくなるケースもある」

 挨拶や報連相までコスパが悪いと切り捨てる若手も出てきた。