■ラウールの成長を後押ししたものとは――
とはいえ、終盤に入っても序盤のように技巧者の木村に引っ張られているシーンは、まだある。だが、物語の構成がラウールの成長を後押ししている。それは、最初はカヲルだけだったが、徐々に大雅の部分が多くなり、多面的な演技の比重が増えていったこと。この変化に合わせて、ラウールはゆっくり、しかし着実に成長できたのだ。
また、グループの末っ子ということもあり、先輩俳優たちに引っ張ってもらうのに違和感がなかったのも確か。さらに、出演作が少ないから、フラットな気持ちでこちらが見られたというのもある。だが、本作で成長し、“いろいろな役を見たい”という気持ちになったのは、ラウールの持つ、表現者としてのポテンシャルがあったからこそ。
Snow Manは俳優としても活動しているメンバーが多く、最近では阿部亮平(31)が『あなたを奪ったその日から』(フジテレビ系)、深澤辰哉(33)が『誘拐の日』(テレビ朝日系)、渡辺翔太(32)が『なんで私が神説教』(日本テレビ系)など、GP帯の連ドラに主要キャラとして出演している。
ただ、どれもSnow Manメンバーとしてのキャラありきの役が多く、演技がうまいというより、ハマっているという感じだった。一方、ラウールは、そのレベルから一気に飛び出せたようだ。俳優枠としては目黒蓮(28)がリードしているが、それに続くのはラウールだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。