日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、世界で圧倒的シェアを誇る日本製品を深掘りする。
世界経済の話題になると「日本の製造業はもう元気がない」といった調子の報道が目立ちます。しかし本当にそうなのでしょうか。実は表舞台では派手に語られることが少ないものの、日本が世界のトップを独占し、外国勢が手も足も出ない分野は数多く存在しているのです。
まず見逃せないのはガラスです。窓やコップを思い浮かべがちですが、実はスマートフォンの画面や自動車のフロントガラス、さらには半導体の基盤にも欠かせない素材となっています。世界シェア1位のAGCと2位の日本電気硝子が事実上の二強で、品質と加工技術の両面で他国を寄せ付けません。
液晶用ガラス基板はAGC、日本電気硝子、米コーニング、アヴァンストレート(東京)の4社しか大量生産できない特殊な分野で、寸法の誤差を極限まで抑える高度な技術が必要です。
さらに東京大学とAGCの研究グループは、従来の100万倍高速かつ超精密にガラスなどの透明材料を加工できる手法を開発。次世代半導体で必須とされる微細加工技術として国際的に注目されています。
世界中の人々を夢中にさせてきたゲーム機も日本の独壇場です。家庭用ゲーム機の歴代販売台数ランキングを見れば、ソニーのPlayStationシリーズと任天堂のハードが上位を独占。中でもPlayStation2は累計1億6000万台以上を売り上げ、任天堂のニンテンドーDSは1億5400万台を突破しました。さらにNintendo Switchは据置型と携帯型を兼ね備えた設計で世界を驚かせ、発売から数年で1億台超えを達成。
外国のメーカーも挑戦しましたが、完成度と遊び心で日本製ゲーム機に勝てた例はなく、「日本の発想力なしでは今のゲーム文化は存在しない」と海外の評論家に言わしめるほどです。
写真や映像の分野でも、日本のカメラは圧倒的な存在感を誇ります。2024年のデータでは1位キヤノン、2位ソニー、3位富士フイルム、4位ニコンと、世界のカメラ市場の上位には日本メーカーがズラリ。
オリンピックや国際的イベントで報道カメラマンが構える巨大レンズの多くは日本製で、その信頼性は世界中のプロフェッショナルから支持されています。特にソニーのミラーレス一眼は業界に革命をもたらし、今では主流となりました。