■写楽=瀬川・小芝風花説も

 藤間爽子は三代目藤間紫を襲名している日本舞踊家で、ドラマでは『silent』(フジテレビ系)で紬(川口春奈/30)の親友・真子、NHK朝ドラ『ブギウギ』で鈴子(趣里/34)の幼なじみ・タイ子など、多くの作品に出演。今回は視聴者の指摘の通り、舞踊家らしい所作の美しさはさすがだった。

 終盤にきて登場したきよが人気キャラとなり、X上では歌麿と彼女の幸せを願う声が多い。今後、歌麿は美人大首絵(歌舞伎役者や美女の半身やバストアップを大きく描いたもの)で人気絵師のトップに躍り出るので、しばらくは歌麿・きよカップルを楽しめそうだ。

 物語が大きな転機を迎える中、勝川春朗(のちの葛飾北斎)にくっきー!(49)、重田貞一(のちの十返舎一九)に井上芳雄(46)、滝沢瑣吉(のちの曲亭馬琴)に津田健次郎(54)という新キャストが発表された。この3人も話題だが、『べらぼう』後半の最大トピックであるだろう、写楽のキャストが未発表のままだ。

 そのためX上では、《北斎まで発表されたのに写楽がまだとは…公式がなかなか教えてくれないので、ついいろいろ想像してしまう。歌麿=写楽説(この説は実際にあるようだ)、瀬川=写楽説(瀬川をもう一度見たい小芝風花ファンの願望)、いずれにしても蔦重との縁の深さが並でない人物だな》などと期待する声が。

 素性がわかっていないだけに、写楽の正体がどう脚色されるのか楽しみ。能役者の斎藤十郎兵衛というのが有名な説だが、実は北斎や歌麿などの著名な浮世絵師という説もある。苦労を重ねてきた歌麿であれば、盛り上がることは確実。きよという、魅力的なパートナーもできたことだし、エンタメをうたう本作として、ふさわしい終盤になるだろう。

 研究家からは、画風が違うという声もあるが、歌麿は他人の画風を真似るのが得意な絵師だ。そもそも、写楽のキャストが発表されないというのは、すでに出ている人間だからかもしれない。発表はしばらく先になるようだが、楽しみに待ちたい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。