■25億円『宝島』と12億円『国宝』の“共通点”
前出の制作会社関係者が続ける。
「記録に残る大ヒットでそのことも多くのメディアに取り上げられたことで、6月公開の『国宝』を見たいという需要はいまだに高く、かなりの上映館数を占めていますよね。
そんななか、『宝島』の3時間超という上映時間も尻込みしてしまう理由の1つとしてあるかもしれません。ただ、観た人の評価は悪くないですね。観た人のレビューは『映画.com』では3.6点(5点満点)、Yahooでも3.8点となっています。
それに『国宝』も『鬼滅の刃』も上映時間は長い。最近のヒット作は3時間前後という流れもあり、『宝島』にとっても大きなマイナスにならないとは思われますが、『宝島』の関係者は今後、『国宝』のように口コミが広がり、それが強い追い風になってほしいと願っているのではないでしょうか」
大友監督がメガホンをとり、木村拓哉(52)が主演を務めた映画『レジェンド&バタフライ』(2023年)は興収24.7億円という実績もある。
「22年6月に“総製作費20億円を投じる一大プロジェクト”と発表されましたが、実際にはそれ以上の製作費がかかったといいますね。大友監督はこだわりが非常に強い人として知られ、セットやロケの予算も惜しまず、撮影延長などもあったため実際は30億円以上の製作費がかかったと報じられていましたね。
そして、142億円超という大ヒットになっている『国宝』の李相日監督も同様にクオリティにとことんこだわる人で、両者は一部では“難しい監督”とも言われるほど。“難しい”とは、とことんまでこだわるあまり製作費が想定以上にかかったり、製作期間が延び、それで製作費がさらにかかってしまうこともあるからだといいます。当然ですが、あまりにも高額な製作費は、制作サイドからしてみれば“リスク”ですよね。
そんな2人の監督が素晴らしい作品を撮るのは間違いないのですが、製作費の面などを考えると、気軽にオファーできないのが現実だそうです。『国宝』の製作費12億円というのも邦画では異例のスケール。そして、『宝島』はその倍以上。“映画は博打”とも言われますが、『国宝』は博打に大勝ちしたと言えますが……」(前同)
■Xユーザーに監督が《ふーーん》が話題に
ライバルが多数で心配の声も上がる『宝島』だが、実際に映画を見た人からは、
《映画の熱量が凄すぎて簡単に書けない 沖縄を舞台に世の人に愛と共に訴える映画》
《ここまでの志ある作品だと、もはや出来不出来とかで推し量れないなという思いもある。たとえ観終わって批判的意見が出るのであっても、まずは1回は日本のみならず世界中の人に見てほしい》
《映像が凄い。当時の沖縄の再現度…見たことはないけど、それっぽいと思わせる凄い映像。そして、役者さんの演技も素晴らしい。特に妻夫木聡 さんの演技は、圧巻》
など、絶賛するコメントも寄せられている。
映画ライターはこう話す。
「映画『宝島』に対して厳しいXユーザーに対し、大友監督が《ふーーん》と直接絡んでいったことも一部で話題になりましたよね。かなり異例の出来事でしょうが、大友監督とすれば、時間をかけて、製作費25億円の重みを背負って、まさに心血を注いで製作したからこそ、何か言いたくなってしまったのでしょうね。
『宝島』を鑑賞した感想を一言で言うとやはり“圧巻”ですね。上映時間3時間超の間ずっと、濃厚で“隙のない”凄い映像が流れているんです。撮影場所の多さ、多数のエキストラを含めたロケのスケール感、ハイレベルなVFXの技術……映像がとにかくすごい。
さらに、物語の中心にある“サスペンス要素”、そして、終戦から1972年の本土復帰後までの沖縄のリアルとそこで生きる人々の感情、想いを描くには、3時間を超える作品になったのは納得ですね。沖縄の人に溜まっていくものがラストにつながる――。同時期に上映されているライバル作品は多いですが、『宝島』もこれから動員数を大きく伸ばしていくことになるのではないでしょうか」
製作費が25億円かかったという超大作『宝島』は、『国宝』の大ヒットに続けるだろうか――。