ドラマ好きから高い評価を受けても、それが視聴率の数字の伸びに繋がらない傾向があった夏ドラマ。だが、今後が楽しみになる若手女優は多かった。

 広瀬すず(27)主演の映画版から10年後の世界が描かれることで話題になった、末次由紀氏の人気漫画『ちはやふる』(講談社)が原作の青春ドラマ『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)。主演の當真あみ(18)は梅園高校の競技かるた部の藍沢めぐる、原菜乃華(22)はそのライバルとなる幼なじみで瑞沢高校の月浦凪を演じた。

 當真は『妻、小学生になる。』(TBS系)や『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)などで好演しているが、原に比べると主人公のオーラが弱く感じられた。それは、めぐるが中学受験に失敗するなど、幼い頃から凪にコンプレックスを抱えている設定で、序盤は鬱屈したシーンが多かったせいもあるだろう。

 ただ、ここ一番で決める演技の集中力は、若手の中でもトップクラス。かるた大会での凪との最終戦は、目を見張るものがあった。今年10月公開の『ストロベリームーン 余命半年の恋』、来年1月公開予定の『終点のあの子』と、映画での主演を連続で経験したことが、成長に繋がったのかもしれない。

 民放地上波のGP帯連ドラ主役は、當真にとってキャリア的にまだ早かったかもしれないが、演技のポテンシャルの高さは十分だ。もうしばらくは、脇を固める役をきっちり演じて経験を積み上げ、さらなる成長をしてほしい。