■“モデル”と見られる人物の航空機事故を連想する声

 向田さんは映画雑誌『映画ストーリー』(雄鶏社)の編集者として働くかたわらシナリオライターを目指し、後に脚本家、エッセイスト、小説家として活躍した女性。1980年には直木賞を受賞している。やなせさんは、自著『アンパンマンの遺書』(岩波書店)で、向田さんと気が合い、よく展覧会を見にいくなど仲が良かったことを明かしている。

「向田さんは、昭和56年(1981年)8月22日、台湾への取材旅行中に、台湾で発生した航空事故としては2番目に多い犠牲者を出した『遠東航空103便墜落事故』の犠牲者となってしまい、51歳で亡くなりました。

 そして、25日放送の『あんぱん』では、彼女がモデルと見られる蘭子にも、時代や取材の動機などは違いますが、向田さんの出来事を連想させる描写があったんです。しかも、“結婚の約束”というものまでついて……」(前出のテレビ誌編集者)

 蘭子は以前から戦争体験者へのインタビューを続けていて、ついに難民キャンプを取材するため、海外へ行くことを決意。出発前に、キューリオ(モデルは『サンリオ』)の社長であり、蘭子と深い仲である八木信之介(妻夫木聡/44)のオフィスを訪れた。

 そこで蘭子は、「誕生日には少し早いけど」と、八木に自作のバースデーカードを渡され、開封すると、指輪が同封されていた。微笑みながら無言で去ろうとする蘭子だったが、八木が「帰ってきたら……考えてくれ」と伝えると、蘭子は力強く「はい」と返す。そして、スーツケースを引きながら、蘭子は八木のもとを去る――というシーンだった。

 のぶと蘭子を巡る描写に、視聴者は不吉なものを感じ取ったようだ。

《のぶが見込んだ人に後継頼んだんかのぶ、、いきなりフラグ》
《のぶも体調悪そうだし、自分の後を頼んでるし、色んなフラグが立ってる》
《旅立つ蘭子と手術を受けるのぶ今日の『あんぱん』フラグが2本も立った》

《フラグじゃないよね…結婚するよね…!?モデル向田邦子さんらしいから…》
《アカンわ、王道の死亡フラグやわ、飛行機事故で亡くなるやつやわ、これアカンて》
《飛行機事故ないことをひたすら祈る》
《蘭子のモデルが、向田邦子さんだとしたら、飛行機に乗って海外に行く事に、ざわつくんですがまさか、最終回目前でそんな事》

 などなど、動揺の声が多数寄せられている。

「さすがにここまで来て、悲劇的なバッドエンドにはしないと思いたいですが、どうなるんでしょうか……。『あんぱん』では“大切な人との突然の別れ”が何度も描かれてきました。それもあって、視聴者は不安を募らせているのかもしれません。とにかく、2人が元気なまま、物語としてはラストを迎えてほしいですよね」(前同)

 泣いても笑っても明日が最終回の『あんぱん』。最終回直前にまさかの“ダブル退場フラグ“が立ってしまったが、果たして、どんな最終回になるのか――。