■蚊が好むのは“ヒトの靴下の臭い”
どんな場所でも蚊が正確に吸血しに来る理由も、ここにあるのかもしれない。
またそれだけでなく、二酸化炭素が蚊の嗅覚にも影響を与えているのだという。
「今回の実験で、蚊が二酸化炭素を察知することで“におい”に対する好き嫌いが増強されることも確認されました。二酸化炭素によって、蚊は好ましいにおいには強く引き寄せられ、嫌いなにおいはより避けるようになるんです」(同)
ちなみに蚊が好むにおいは“ヒトの靴下の臭い”とのこと。要するに汗のにおいだそうなのだが、気になるのは嫌いなにおい。それを避けるのであれば、例えば運動後や飲み会帰りなど、普段より呼気に二酸化炭素が出てしまっているのでは……という場面でも、虫除け対策ができそうなもの。
「一般的にはシトロネラ、ユーカリ、ラベンダー、ミントなどが挙げられます」(同)
市販の虫除け製品にも応用されているハーブ系の香りだ。
要は、二酸化炭素の「やる気スイッチ」を逆手に取れば蚊に刺されなくなるということ。つまり、汗をこまめに拭くことで蚊が好むにおいを防止し、アロマオイルやスプレーなどの形で蚊が嫌うにおいを身にまとえば、ある程度の対策が立てられるかもしれない。
蚊に刺されるリスクは、かゆみだけに留まらない。東南アジアを中心に「デング熱」をはじめとした命に関わる感染症も流行しており、日本国内でも症例が確認されている。
「弊社では蚊を媒介とする感染症を抑えるためにも、“肌の表面を蚊がとまれない状態に整えることで、蚊に刺されなくする”という新しい発想の技術や、“蚊の羽や体を濡らすことで蚊の飛行行動を妨げる”技術を開発しました。さらに、企業、政府、学術機関で連携してデング熱の被害を削減する取り組みを進めています」(同)
近い将来、蚊から身を守ることができるようになるかも?
今後のさらなる研究と開発から目が離せない。