■「こんな状態で上手くいくはずがない」フジ4年目社員の嘆き

 2024年12月に中居氏のトラブルが報じられ、以降、大きく揺れ始めたフジテレビ。結果的に10時間半に及んだ1月27日の会見に先駆け、1月17日には港氏が定例会見を行なったが、参加媒体は記者会加盟社に限定され、動画撮影も認められず、かつ「回答は控える」を連発したことで批判が殺到することになった。

 ドキュメンタリー『当事者たち。~フジテレビ入社4年目の記録~』では、この件についてフジテレビの小室瑛莉子アナウンサー(26)が「経営陣というかそこに参加していた人、そしてそこにOKを出した人が事の重大さを理解していないんだなっていうことにすごくがっかりしたし、我々もどんな話がされたのかNHKの記者の文章で知るっていう……。がっかり(という気持ち)と経営陣から我々が信頼されていないというか」と心境を吐露する場面もあった。

「そして同ドキュメンタリーでは、10時間半に及んだ会見のリハーサルの様子も記録していたのですが、それがなかなか驚きの映像で……。港氏が会見で話す謝罪の言葉を本番直前まで覚えていなかったり、当時の嘉納修治会長(75)がおじぎをしてから頭を上げるのが“数秒早い”と指摘があり、笑い声のようなものも聞こえてきたり……なんとも緊迫感がないんです。

 港氏を始めそのときのフジ上層部が真剣にやっていないということではないのですが、事態の深刻さ、事の本質を理解していないような……。おじぎから頭を上げるのが数秒早いなんてどうでもいいはずなんですが、ドキュメンタリー映像からは側を繕っているだけのようにも伝わってくるんです。本当に反省しているのか、しっかりと問題に対峙しているように感じられず、やはり、小室アナが証言したように“事の重大さを理解していない”ということが伝わってくる感じです。

 会見のリハーサルを終える場面で《こんな状態で上手くいくはずがない》とディレクターのナレーションが入るのですが、まさにそれで、港氏をはじめとする上層部の残念な姿がそこにはありました。結果、1月27日の会見が終わっても事態は全く好転はせず、さらなるスポンサー離れを招くことになりましたよね。

 ドキュメンタリーとしてはかなり粗削りで、結論のようなものは描かれておらず、何を言いたいのかもはっきりとしないものになっています。ただ、ありのままを出すことに意味があったと思われます。中居氏のトラブルに端を発した大騒動時の、フジテレビ内部のリアルが映像にはおさまっています。

 そんな、フジ内部、社員たちの現実がよく分かる『当事者たち。』はテレビ関係者の間では注目を集めており、見た人からはあらためて“あの上層部では社員たちが可哀相”という話がされていますね……」(前同)

 港氏から代わった清水賢治社長のもと、改革が進むフジテレビ。“完全復活”の日は、いつになるのだろうか――。