■『べらぼう』を変えるのはおてい・橋本愛
平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は8.9%と、9%を割った。裏番組に世界陸上の中継があった前々回の7.8%と前回の7.4%よりはいいが、大河にしてはかなり物足りない数字だ。全話平均は現段階で9.72%。このままでは、歴代ワースト2の前作『光る君へ』の10.7%を下回ってしまいそうだ。
不調なのは、重い展開が続いているためだろう。田沼意次(渡辺謙/65)が失脚し、後ろ盾を失った8月以降、2か月近くも蔦重がもがき苦しむ姿が続いている。新之助(井之脇海/29)、春町(岡山天音/31)と仲間の死も続いた。歌麿の結婚など明るい話題も少しは入ったが、全体的には重苦しかった。
次回予告には、蔦重が地本問屋仲間に頭を下げて協力を求める姿が見られる。これで一歩前進し、明るい希望が見えてきそうだが、その蔦重を支えるのは、やはり妻・てい(橋本愛/29)だろう。今回も、蔦重を「旦那様は所詮市井のいち本屋でしかありません!」 と、ていが眼鏡を外して一喝するシーンがX上で評判になっていた。
演じる橋本も自身のインスタグラムに、眼鏡を外したていの写真に、「大切な人の死、色んな人の思いを背負って、生き残るということ。どうか最後まで、見守っていただけますように。これから先、おていさん痺れるほどかっこいいです」とコメントを添えているので、今後のていの活躍は間違いないだろう。
今回、尊号一件につながるエピソードが出てきたので、定信の失脚と寛政の改革の終わりは近そうだ。幕府の厳しい弾圧を乗り越え、蔦重が江戸の出版会に新風を吹き込んでいく、明るくパワフルな『べらぼう』に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。