■賞味期限を過ぎても、まったく大丈夫な食品がある!?
一方で、賞味期限を過ぎてもおいしく食べられる食品もある。
「納豆は賞味期限を過ぎても美味しいことが多いです。ただ、同じ大豆製品でも豆腐は足が速い。手延べそうめんは、作り立てよりも2〜3年寝かせた方が食べ頃とされます。缶詰も長期保存向きで、濃い味付けやシロップ漬けなら、東京農業大学の研究では15年も品質が保てた例があります」
さらに、日本と海外では賞味期限の考え方にも差があるという。
「日本は湿度が高く保存条件が不安定なため、賞味期限は短めに設定されがちです。海外では同じ商品が、日本では1年、海外では1年半ということもあります。イギリスでは、期限を過ぎてからどれくらい食べられるかのガイドラインまであるんです」
食品を無駄に捨てるのは、お金を捨てるのと同じ。井出氏は、賢い買い方の工夫も勧める。
「キャベツは4分の1カットを買う。大容量の調味料より小瓶やプッシュ式を選ぶ。醤油は酸化しやすいので冷蔵保存、めんつゆや白だしは早めに消費する。保存と消費のバランスを見直せば、食品を無駄にせず楽しめます」
最後に井出氏はこうまとめる。
「守るべきは消費期限。賞味期限はあくまで目安です。パッケージ表示に縛られすぎず、正しい保存と加熱調理を心がければ、食品はもう少し長く楽しめます」
冷蔵庫の中身と相談しながら、賢く付き合っていきたい。
井出留美(いで・るみ)
日本の食品ロスジャーナリスト。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。著書に『捨てられる食べものたち』『食品ロスをなくしたら1か月5,000円の得!』『賞味期限のウソ』他、監修書に『食品ロスの大研究』