■パレード中ずっと仏頂面の安芸乃島

 でも、本番前から「こんな屈辱的なことはない」「貴闘力よりオレのほうが稽古しているのに」などと、ブツブツ文句を言う兄弟子との優勝パレードは、苦痛でしかなかった。

 パレードの間じゅう、安芸関はブスーッとして笑顔はなかった。もしオレがかわいがっている弟弟子・貴ノ浪だったら、沿道のファンにはちきれんばかりの笑顔を見せてくれただろうにと思うと、いまだに悔しい思いだ。案の定、琴櫻にも笑顔はなかった。琴勝峰もやりづらかったと思うよ。

 十両の土俵にも、目を向けようか。名古屋場所、脚の手術のために全休だった人気者・遠藤は十両3枚目。34歳で満身創痍だから、今場所、勝ち越せるかどうか微妙なところだ。遠藤は、すでに年寄株を取得していて、今は他の部屋のM親方に貸しているんだけど、Mから株を引き揚げて、引退の準備に入っているらしい。

 そして、久しぶりに十両に復帰したのが元大関・朝乃山だ。番付を落としたのはケガが原因だし、それが癒えたから、今場所は無難に勝てるだろう。朝乃山には「型」があるから、ハマれば強さを発揮する。運がない力士でもあるけど、もうひと花咲かせてほしいね。

貴闘力忠茂(たかとうりき・ただしげ)
1967年9月28日、兵庫県生まれ。二子山部屋(入門時は藤島部屋)入門後、83年に初土俵。最高位は東関脇。2000年に幕尻(前頭14枚目)で初優勝する。02年に引退し、大鵬部屋の部屋付き親方となるが10年に野球賭博関与のため日本相撲協会を解雇される。現在は焼肉店『ドラゴ』を経営。