■『逃走中』はもう作れない? フジテレビに聞いた
昨年末、元タレントの中居正広氏(53)とフジテレビの元アナウンサーAさんとのトラブルが報じられ、これがフジテレビ全体を揺るがす“中居氏・フジテレビ問題”へと発展。フジテレビ内の過去のハラスメント実態なども明らかとなり、多数のスポンサー企業が同局から撤退する事態となった。
5月にはフジテレビの親会社・フジ・メディア・ホールディングスが今年3月期連結決算を発表したが、フジテレビ単体の決算は、CMの差し止めが広がったことから最終利益が328億円の赤字となった。
フジテレビは相次ぐスポンサーの撤退で、今年6月30日までに損害額約453億3500万円を被ったと主張。問題発生時に適切な対応ができなかったとして当時社長だった港浩一氏(73)と専務だった大多亮氏(66)に対して計50億円を求める訴訟を東京地裁に提起した。
「現在、スポンサー企業は徐々に戻りつつありますが、一連の問題によって生じた“金欠問題”の影響が今秋以降、番組制作のところに出てくるといいます。つまり、大幅な制作費の削減があるわけですが……それにより、局の勝負どころであるゴールデン帯のバラエティ番組でさえ、かつての深夜枠級の予算になると見られているんです。『逃走中』はレギュラー番組ではなく大型特番ですが、当然ながら特番の予算も大幅カットになると。
ちなみに、ドラマも同じく制作費削減が進む民放他社と比べても4分の3ほどになるそうです」(前出の民放キー局関係者)
『逃走中』は大規模ロケが必要なコンテンツ。ロケ地の確保やスタッフの人件費、長い時間拘束する豪華な出演タレントの出演料、クリア特典の賞金などに、かなりの予算がかかっている番組だと言われる。
まず、撮影はイオンレイクタウン(埼玉県越谷市)など大型ショッピングモール、横浜中華街や上野アメ横商店街、山梨・富士急ハイランドといった人気観光地など、広大なエリアを借り切って行なうだけでなく、戦いの様子を空撮したり、ミッションを伝えるボールを落とすために、ロケにはヘリコプターも使われている。
そして人件費。撮影スタッフだけで300人を超え、出演者は俳優、芸人、アスリート、アイドル、クリエイターなど、多岐にわたる。過去にはボブ・サップ(52)や清原和博氏(58)といった、ギャラが高額とされるタレントが出演したほか、昨年末にはパリ五輪出場の日本代表選手11人を含む、総勢29名の大所帯で「逃走」が繰り広げられた。
また、挑戦者を確保する「ハンター」の数も膨大で、回によっては100体ものハンターが登場することも。
前出の民放キー局関係者は言う。
「驚きですが、ピーク時には制作費が1億円もかかったそうですよ! また同番組では、世間に普及するより前にドローンやGoPro(高性能アクションカメラ)を番組に導入したという話もあります。
大規模で豪華に作る『逃走中』は、とにかく制作にお金がかかる番組なんです。さすがにテレビ不況の近年は、制作予算も減っていたでしょうが……現在でも、作るのに5000万円以上はかかるコンテンツでしょう。それだけに、“中居氏・フジテレビ問題”が勃発し、今後しばらくは“慎ましく”番組制作をしていかないといけないフジテレビでは、『逃走中』の新作を作るのは難しいそうなんです」(前同)
子どもたちに大人気の『逃走中』の新作はもう見られないのか――本サイトはフジテレビに同番組の今後について問い合わせたところ、
「詳細についてはお答えしておりませんが、次回放送に向け準備を進めています。放送日時発表までお待ちください」
と、番組の存続を感じさせる回答が得られた。
今年の上半期は大騒動で大ダメージを受けたフジテレビ。スポンサー企業が戻りつつあるが、ピーク時は制作費が1億円もかかったという大規模番組『逃走中』は、簡単ではない局面を迎えているようだ。